ゴールドシップは、競馬ファンの期待を良くも悪くも裏切る馬です。
苦手な京都で超ロングスパートを決めて勝利したかと思えば、得意の阪神で大出遅れをして惨敗したりと、ゴールドシップの出走するレースでは、驚かされることばかりでした。
特に競馬ファンを驚かせたのは、2012年の第72回皐月賞です。
当日の中山競馬場は、天候は晴れだったものの前日に降った雨の影響が残り、馬場状態は渋っていました。
しかも、この年の中山競馬場の芝コースは荒れていて、稍重と発表されていた馬場状態よりもっと悪かったと言われています。
芝コースの馬場状態が悪いと、出走する各馬は少しでも状態の良い外をまわります。
この日の中山競馬場で行なわれた芝のレースでも、ほとんどの馬がコーナーでも外を通る状態でした。
皐月賞のレースでも、ほとんどの馬がラチから離れて外をまわっていました。
最後方からレースを進めていたゴールドシップも、誰もが外をまわり追い上げていくのだろうと考えていたのです。
しかし、3コーナーから距離のロスを覚悟で外を追い上げるライバルを尻目に、ゴールドシップは荒れた内側をスルスルと追い上げていきます。
内側を追い上げたゴールドシップは、3コーナーでは最後方にいたのに、4コーナーではあっという間に先頭に並びかけていたのです。
そのあまりの追い上げっぷりに、ゴールドシップはワープしたと言われたほどでした。
結局この3コーナーから4コーナーにかけての攻防が決め手となり、ゴールドシップは皐月賞を制しました。
ゴールドシップがコーナーで内をまわって追い上げたのは、荒れた馬場を全く苦にしていなかったからです。
そのため、騎乗したジョッキーは外をまわって距離をロスするよりも、ポッカリと空いた内側を通ることが選びました。
この騎乗振りは高く評価されて、今でも名騎乗と言われています。
外をまわった2着馬との差は2馬身半でしたから、ゴールドシップが他の馬と同じように外をまわっていたら、勝つのは難しかったかも知れません。
それほどまでに、通った場所が勝負の明暗を分けるポイントでした。
皐月賞を勝ったあとも、ゴールドシップは引退する最後まで、人々を驚かせ続けます。
ファンも非常に多くて、2015年の有馬記念後に行なわれた引退式には、大勢の観客が残って見送りました。
G1を6勝もする輝かしい活躍とともに、お騒がせなレース振りも、競馬ファンの記憶に残り続ける名馬です。